2023.02.20

「0→1Design Lab/ゼロイチデザインラボ」NSSOL様インタビュー

2022年4月、日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)本社オフィス内にビジネス共創の場「0→1Design Lab/ゼロイチデザインラボ」がオープンしました。TRENCHはアイデア創造ソリューション「ideagram」によって可視化された社内メンバーの意見に基づき、本ワークプレイスの空間設計とデザインを支援しました。「0→1 Design Lab」設立の背景や今後の展望について、本プロジェクトに携わったNSSOLメンバー3名にお話を伺います。

背景課題
  • ・顧客企業にNSSOLの最新の取り組みや技術力を効果的に訴求することで、既存の堅実な企業イメージに加え、イノベーションを共創する「ファーストDXパートナー」としてのイメージの醸成。
  • ・オンライン上での商談時に活用可能な動画コンテンツをボトムアップで拡充できるよう、営業の現場メンバーがウェビナーやPR動画の撮影・配信を負担なく実行できる環境の整備。
  • ・リモートワーク普及による、社内コミュニケーション手段の変化に対応した社内情報流通の活性化。
施設主要機能
  • ・オンライン上での説明より一段深い理解を促進するため、机や棚といった全ての什器を可動式とし、デモ体験・事例紹介など見学時のコンテンツに合わせたレイアウト変更が可能な造作とした。
  • ・スタジオとして映像での映り方を考慮した什器選定・装飾配置を行い、最小限の準備・設営負荷で映像の品質が高い動画制作が可能な環境を整備した。
導入効果
  • ・0→1DesignLabで行われたローカル5Gの実証実験を基にした現場適用事例が誕生。
  • ・顧客によるインタビュー動画の制作や部署単位での全体ミーティングでのオンライン配信に活用されるなど、社内外への情報発信の起点として活用が進む。

ワークプレイスを通じ、社内外にNSSOLの新たな価値を訴求する

――はじめに「0→1 Design Lab」がどういった空間かを教えてください。

島田さん:「イノベーションの原点」というコンセプトの下、お客様の想いとNSSOLの技術とをかけ合わせ、イノベーションが生まれるきっかけを生み出すための空間です。現在この空間ではローカル5Gを活用した実証実験や、システム研究開発センターによる先端技術のデモ体験などを行うことができます。実際に先端技術に触れながら実現したい未来を議論することで、新しいビジネスの種となるアイデアと熱量が生まれる場にできれば考えています。

正木さん:また、社外へのPR/マーケティング活動の起点にできるよう、動画撮影やウェビナー配信が可能なスタジオとしての役割も持たせています。オンラインでの商談機会が増えたことに対応し、誰もが一定の品質で担当ソリューションのPR動画を制作可能な環境を整えました。


――「0→1 Design Lab」の設立の狙いを教えてください。

島田さん:NSSOLは数多くのお客様の経営を支える基幹システムを構築してきた実績から、「安心・誠実・信頼できる」といった評価をこれまでいただいていました。ですが、変化のスピードがますます加速する現代において、お客様の価値創造に貢献するためには、従来の堅実なイメージに加え、お客様とDXをともに進める「ファーストDXパートナー」としての存在感を訴求していく必要がありました。

そうした課題意識から、「0→1 Design Lab」の基となる構想が生まれました。このプロジェクトを開始した2020年中盤は、リモートワークもかなり浸透しオフィス活用のあり方を模索していた時期でもありました。そうした状況も、ワークプレイスの新設という挑戦につながりました。


――お客様と直接向き合う立場の正木さんは、当時どんな課題を感じていましたか。

正木さん:事業部を横断して技術や知見を共有し合う機会をなかなか持てず、NSSOL全体の強みを網羅的に把握できていなかったことです。イノベーションにつながる挑戦をしたくとも、社内の知見者が誰かわからず、結果として現状維持に近い提案をせざるを得なかったメンバーもいたと思います。

島田さん:「0→1 Design Lab」設立の背景には、こうした社内の情報流通を活性化させる狙いもありました。「0→1 Design Lab」を通じてNSSOLの多面的な価値をまずは社員自身が再発見し、お客様に伝えていくコミュニケーションを自然と育める場としたいと考えています。

社内メンバーの意見が活かされたコンセプト策定

――「0→1 Design Lab」設立までの経緯を教えてください。

三隅さん:「0→1 Design Lab」の設計・デザインにあたっては、ideagram(※)を活用し、50人以上の営業やSEなど立場の異なる現場メンバーから意見を広く募り、多くのアイデアが集まりました。

ideagramによるアイデアのスコアリング機能を活用し、現場メンバーが持っていた新しい空間に対する期待の傾向を可視化し、特にニーズの高い機能を特定しました。その結果、2ヶ月足らずという短期間で全体の総意をまとめることができました。

全体の意見を集約した後、事務局メンバーで改めてこの空間のコンセプトをUXデザインの手法を用いて検討しました。ユーザージャーニーを描きながら「0→1 Design Lab」に訪れた人々の感情の変化を具体的に想定し、空間デザインのアイデアに落とし込んでいます。単にスタイリッシュな空間を作るのではなく、そこに実際に訪れたお客様/当社社員にどんな価値を届けるべきかについて、徹底的にこだわりました。

(※)独自開発の合意形成アルゴリズム「CI技術」に基づき、アイデアの価値や人の創造力を定量化するソリューション。


――ideagramで社内の意見が可視化されたことで、どんな効果がありましたか。

正木さん: 不透明だった社内の意見や方針が可視化され、イノベーションへの熱意を持つメンバーの声に気付くことができました。事務局メンバー全員がそうした声を実際に聞くことができたため、その後の企画過程においても柔軟なアイデアや提案を出てきやすかったと感じています。

利用者のインサイトや企業の未来を見据えた空間設計

――「0→1 Design Lab」設計のパートナーとしてTRENCHを選んだ理由を教えてください。

島田さん:利用者のインサイトを想定したうえで伝えるべきメッセージまで踏み込み、デザインに落とし込んだ提案が印象的でした。ワークプレイスの提案では、レイアウトや設置家具の種類をはじめとした部屋の機能についてのアピールが中心となりがちです。一方、TRENCH様は生み出したいコミュニケーションを検討いただいたうえで、そのために必要な要素や仕掛けを設計・デザインに取り入れた提案をいただきました。

正木さん:実際に「0→1 Design Lab」を利用する営業担当者のニーズが適切に反映されていたと感じています。コロナ禍でお客様との接点の形が大きく変わった私たちの切迫した状況への理解があり、5年後の情勢や営業スタイルの変化までを見越した提案となっていたことは、営業メンバーから非常に好評でした。

三隅さん:私たちの中で、この空間での体験を通じて、お客様に「NSSOLの先進性や技術力の高さを、言葉で理解いただくだけでなく魅力として伝えたい」という意識はあっても、手法については未知のことだらけでした。TRENCH様はそうした感性の部分もしっかりフォローし、空間として具現化いただいたと感じています。


――今後どのように「0→1 Design Lab」を活用していきたいですか。

島田さん:既に実際に来訪されたお客様に、新規ソリューションのデモや実証実験を体験いただいています。

オンラインによる非同期のコミュニケーションが広く浸透した今だからこそ、時間と場所を共にすることの価値に改めて着目しています。感動、驚き、未来への希望…。そうした感情の揺れ動きを「0→1 Design Lab」で共有することで、「ファーストDXパートナー」としてお客様とともにイノベーションに挑みたいという私たちの想いや覚悟を感じていただきたいと考えています。

正木さん:お客様に「0→1 Design Lab」へ気軽に足を運んでいただき、イノベーションにつながる気づきを生み出せればと考えています。私たちもこの空間で生まれるアイデアを基にした積極的な提案を増やしていきたいです。

三隅さん:構想で描いた空間が生まれたことを、心から嬉しく感じています。今後、社内メンバーに対しても「0→1 Design Lab」が実現できる価値を広く発信し、3年後のビジネスにつながるイノベーションを生みだす場として活用していきたいと考えています。